ここでは公開されている数字がめずらしくはっきりしています。顔の施術は料金表で別項目として示されることが多いからです。東京のある専門クリニックは、手術費¥220,000に加えて、ヒゲ、もみあげ、眉の症例では株あたり¥1,100を課しており、頭皮の施術の株あたり¥990に対して、株あたりおよそ11%高い水準です。イスタンブールの料金は絶対額では逆向きですが、構造は同じです。口ひげはおよそ$1,500–3,000で500–1,000株、ヒゲの一部を埋める施術はおよそ$2,000–3,500で1,000–2,000株です。
上乗せ分の中身は植え込みにかかる時間です。顔の毛はほとんどが毛髪一本の単位で、頭皮の毛よりずっと浅い角度で生え、あご、あご先、頬にかけて向きが変わります。そのため株一つひとつを、置く場所だけでなく選び方まで決めなければなりません。ヒゲを施術する執刀医は、採取したものの中から毛髪一本の毛包単位を選び出し、房のように見えてしまう複数毛の単位を外していきます。選り分けには時間がかかり、一回の採取のうち使える割合も低くなります。
絶対額そのものは頭皮の施術に比べればまだ低く見えますが、それは単に株数が少ないからにすぎません。そこに隠れているのはドナーのコストであり、結果に対しては決して低くありません。そしてその部分には、誰も値段をつけていないのです。
NHT Japan (Kioicho Clinic, Tokyo) published tariff: ¥220,000 surgery fee plus ¥1,100/graft for eyebrow, sideburn and beard against ¥990/graft for scalp FUE; Dr. Serkan Aygin Clinic (Istanbul) published pricing: moustache 500–1,000 grafts at $1,500–3,000, partial beard fill 1,000–2,000 grafts at $2,000–3,500(https://www.nhtjapan.com/price/)、2026-07-28測定。
頭皮のドナーの供給は、これから受けるすべての施術で共有される、生涯にわたる一つの予算です。1,500株のヒゲの施術は、あとで生え際に使えなくなる1,500株であり、パターン脱毛は進行しますが、まばらなヒゲはふつう進行しません。この非対称性は、はっきり言っておく価値があります。ヒゲはひとりでに悪化することはまずありませんが、生え際はおそらく悪化します。
その予算を支える計算はドナー部の容量のページにあります。安全な一回の摘出はcm²あたりおよそ10から15毛包単位で、cm²あたり40から50毛包単位を残す必要があり、アジア人の基準ドナー密度はcm²あたり61から63です。たいていの人にとって、ヒゲの施術はこの予算のなかで無理なく収まります。すでにNorwood IVで、ドナー密度も平均的な人にとっては収まらないこともあり、見積もりの前にこの計算をしていないクリニックは、間違った制約のもとで見積もりを出しています。
移植された毛はもとの頭皮の生え方の性質も保ちますので、ヒゲの長さで落ち着くのではなく、頭皮と同じ速さで、頭皮と同じ長さまで伸び続けます。定期的に、しかもずっと切り続ける必要があります。これは合併症ではありませんが、カウンセリングで語られることのない、メンテナンスの負担です。
Keene SA, Rassman WR, Harris JA. Determining safe excision limits in FUE. Hair Transplant Forum International. 2018;28(1):1–11 (safe single-pass excision density, residual-density floor, and Asian baseline donor density of 61–63 FU/cm²)(https://www.ishrs-htforum.org/content/28/1/1.2)、2026-07-28測定。